黙食の廃止 ~会話しながら食べることのメリット~
ゴールデンウィークが明け、5月8日より正式に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行しました。これに伴い、給食の現場でも、「黙食を廃止した」、「パーテーションを外した」、「保育士が子どもと一緒に食事を食べるようになった」など、以前は当たり前であった食事の風景が戻ってきました。実際に、今月お会いした複数の保育園で、子ども達の変化が共有されています。例えば、パーテーションが外されたことにより、「みんなの顔がよく見えて嬉しい」、「しゃべりやすい」、「聞こえやすい」と子ども達の会話が増えたことは多くの保育園で話題に上がっています。パーテーションには透明のアクリルボードを使用していたことが多く、隣や向かいにいるお友達の顔が見えていたはずですが、その”隔たり”が与える影響は想像以上であったようです。この他、職員が一緒に食べることで、「おいしいね」、「甘いよ」、「やわらかいよ」など、食べて見せながら関わるシーンが増えた保育園では、明らかに子ども達の食べてみよう、もっと食べたいという意欲の違いを感じているようです。
このように、保育園での黙食の廃止は、子供たちの食事にさまざまなメリットをもたらします。本記事では、黙食廃止による子どもたちへのメリットについて解説しています。
黙食廃止がもたらすメリット
黙食の廃止は、子供たちにとってさまざまなメリットがあります。
食事が楽しくなる
黙食の廃止により、食事中に友達と話すことができるようになります。友達と話しながら食事をすれば、食事が楽しくなります。
子ども達の食に関する関心度がアップする
黙食が廃止され、子ども達が会話しながら食事を楽しむようになったことで、食べることに対する関心度がアップしています。黙食の期間中は、栄養摂取のための食事と言わざるを得ませんでした。しかし、コロナ禍以前のように食べるだけではなく友だちや先生方とおしゃべりを楽しみながら食事をすることができ、食べ物や味、食感など子ども達の食に関する興味関心が広がっています。
食事をよく噛むようになる
黙食であると、食事中に会話をすることができず、ついつい急いで食べてしまいがちです。しかし、黙食廃止になると、友達と話しながらゆっくりと食事をすることができます。
食事の摂取量が増える
黙食は、食事中に会話をすることができないため、食事の量が少なくなる傾向があります。しかし、黙食廃止になることで、友達と話しながら食事をすることができるため、食事の量が増える可能性があります。
コミュニケーション能力が向上する
みんなで囲む食卓はコミュニケーション能力を向上させる貴重な場です。これに対して孤食はコミュニケーション能力が育たないことが課題として挙げられています。黙食はみんなで食べていても孤食と変わらない状況を作っていたとも言えるでしょう。
広がる食文化
会話しながら食べることによって、子ども達は異文化を学ぶことができるようになります。友達と意見交換をすることで、他人の好みや食に対する価値観、料理に対する印象や考え方を感じることができ、子ども達の食文化が広がることが期待されます。
食事中に子どもと会話を楽しむポイント
これまではなるべく会話を控えていた食事時間ですが、晴れてその制限はなくなりました。いざ、「話していいんだよ」と言われても子ども達にとっては静かに食べることが当たり前だったので、戸惑うこともあるかもしれません。そこで、食事中に子どと会話を楽しむポイントについてご紹介します。
1. 食べ物についての話題を振る
食事中は食べ物について話すのが一番自然です。子ども達に好きな食べ物や作ってほしい料理などについて聞くことで、子ども達の好奇心を刺激し、会話が盛り上がります。
2. 興味があることについて話す
子ども達には興味があることがたくさんあります。保育園での活動やお家での様子、好きな遊びなどについて聞くことで、子ども達が自分の意見を述べる機会を作ります。
3. 楽しい話題に絞る
食事中に難しい話題を振ると、会話が強制的に抑え込まれることがあります。楽しい話題に絞ることで、リラックスした雰囲気を作り、会話を楽しむことができます。
4. 言葉遣いに気を配る
食事中は口を開けたまま話すので、言葉遣いに気を配ることは特に大切です。親しみやすい言葉遣いを心がけましょう。
5. 聞き役になる
子ども達が何かを話すときに、しっかりと聞き役になってあげましょう。興味を持って聞くことで、子ども達が自分の意見を述べることにもつながります。
会話を楽しみながら食べる姿は、本来のあるべき状態です。食育の根幹でもあるみんなで楽しく食卓を囲むということ。これがはっきりと再開できるようになった今、子ども達に食べ方を示しながら、大人が美味しそうに食べる様子を見て、子ども達の気づきに共感し、楽しい食卓の実現につなげたいですね。