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食の五色~色彩と栄養バランスの美味しい関係

献立を立てているとき、料理をしているとき、盛り付けをしているとき、食事を食べるとき、必ず気になるのは色彩です。そこで、栄養士だからこそ気になる、色彩と栄養バランスの関係についてお答えします。


目次[非表示]

  1. 1.「食の五色」とは
  2. 2.色彩と栄養バランスの関係 

 栄養士のみなさんは何をイメージして献立を立てていますか。献立を考える作業は、とても地味な仕事だなと私は思います。栄養ソフトの中に登録されている料理を検索したり、料理本を見たり、レシピサイトを検索したりしながら考えていく、あの作業です。献立が決まってしまえば、あとは栄養ソフトで栄養価は瞬時に計算されるわけですが、この献立を決めるまでが一苦労です。家庭の食事とは違い、見た目や味だけではなく、目標栄養量をクリアできるような献立を立てなくてはなりません。子ども向きな献立で、見た目よく、味良く、栄養バランスよく立てる必要があります。様々な視点で考えた献立ですが、実際に調理してみて気づくことが多くあります。その一つが「彩り」です。「全体的に茶色くなってしまった」「緑が映えなかった」「赤がたりなかった」といった声は給食現場でよく聞こえてきます。


「食の五色」とは

 古代中国に始まった自然哲学「五行思想」に基づく「五味・五色・五法」をご存知ですか。中国料理、韓国料理、日本料理はそれぞれ違う料理ですが、「五味・五色・五法」が共通する考え方です。

五 味・・・甘味・塩味・酸味・辛味・苦味

      味の変化をつければ食が進み、美味しく食べらる。

      ※舌の味蕾で感じる”食の五味”は、甘味・塩味・旨味・酸味・苦みです。

五 色・・・白・黒・赤・黄・緑

      毎日の食事の中で五つの色の食べ物をとれば自然と元気になる。

五 法・・・生・煮る・焼く・揚げる・蒸す

      調理法の変化をつければ食が進み、美味しく食べられる。

 これらは日本料理の基礎にもなっています。特に五色は時代の変化やお国柄を映し出します。日本は特に独特な美意識で磨き抜かれてきました。食材自身の持つ色だけではなく、器の色、あしらいの色など、配慮するものが多岐にわたります。「日本料理は目で味わう」と言われるほどです。

 身近な例ではお弁当を作る時を思い浮かべてください。お弁当箱という限られたスペースに料理を詰めるとき、特に彩りが気になりませんか?おそらく、赤は梅干やプチトマトで、黄色は卵焼き、緑はブロッコリーや青菜など、彩りを考えてぎゅっと詰めていきます。そして忘れてはいけない黒色も。胡麻や海苔、昆布、ひじき、きのこなど、日本には黒い食材が多くあります。この黒色を加えると全体が引き締まります。

 五色を意識した食事と言われると難しく感じることもあるかもしれません。しかし、私たちはいつも気付かないうちに食の五色を意識しながら食事を作ったり、食べたりしていると思うのです。



色彩と栄養バランスの関係 

 食の五色がそろうと食卓が華やかになるだけではなく、栄養バランスも整えることができます。栄養士が献立を考える際も、頭の中で料理の組み合わせや使用する食材から彩をイメージしていると思います。栄養価を見て調整しようと思うと、たんぱく質が多い料理、脂質が低い料理、エネルギーが高い料理…と栄養素から考えてしまうこともあります。しかし、彩りを優先して考えると結果的に栄養バランスが整っていた、ということがよくありませんか。一方で、いくら想像を巡らせて献立を考えても調理してできあがった料理をみて予想と違うと感じることもあります。それは、食材の色が調理後そのまま保たれるわけではないからです。加熱方法や味付けにより退色したり、調味料の色で着色されたりするのです。赤い色に期待していた人参の入った煮物が良い例ですね。たいてい茶色く仕上がります。緑を期待していた胡瓜も同様です。きゅうりは川野部分だけが緑で中は白色。切ってしまえば白い面積が多いのです。このような想像と現実のギャップを繰り返しながら献立を考えている私たち栄養士。彩りを最優先で確実に組み合わせていければ、見た目よく、栄養バランスも良い献立が立てられそうです。そして彩は食欲増進にも効果的です。食べる立場になったとき、必ず彩でその食事の第一印象を評価していませんか。給食でも子ども達や先生方はこの彩りで大半の食事の評価をしていると思うのです。だからこそ、彩りを重視した献立作成で結果的に栄養バランスも満たせており、喫食者からも喜ばれる、こんな仕事の進め方をしていきたいです。

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